2011年4月2日土曜日

NASAが宇宙の放射線障害予防に水素が有効とする可能性を発表

アメリカ航空宇宙局(NASA)が、宇宙飛行における放射線障害予防に水素が有効である可能性を述べた論文を発表した。
水素療法は宇宙飛行中の放射線で誘発される酸化ストレスを軽減する
Hydrogen therapy may reduce the risks related to radiation-induced oxidative stress in space flight.


(著者)Schoenfeld MP, Ansari RR, Zakrajsek JF, Billiar TR, Toyoda Y, Wink DA, Nakao A.
(学術誌)Med Hypotheses. 2010 Sep 17.
宇宙放射線による酸化ストレス増加は、DNAや脂質の損傷を引き起こすこと知られており、宇宙飛行の主要な懸念である。生物医学分野において最近新たに水素が治療用の医療ガスとして強力な抗酸化剤、抗炎症作用を持っていることが発見されている。宇宙ミッションの活動は、回数と期間の両方で今後数年間で増加すると期待されている。したがって、宇宙飛行士に対して酸化ストレスが原因で発生する疾患のリスクや臨床症状を研究・開発し、防止することが重要である。
我々は、宇宙飛行士が受ける潜在的な放射線または有害事象の影響を、水素を吸引または飲料水として多く摂取することで新しい予防と治療戦略に可能性が高いことを示唆する。

論文はNASAとピッツバーグ大学の研究者らによるもので、
「宇宙空間における、放射線による宇宙飛行士の酸化傷害は深刻な問題で、
現技術では十分にこれを防ぐことができません。そこで、予防方法として
水素の抗酸化能に注目している」というもの。


実用的な摂取方法として、圧で水素ガスを水に溶け込ませたり、水を電気分解
して作る方法など、以下のように新たな予防治療方法を開く可能性として仮説
を述べています。

「宇宙放射線による酸化ストレス増加は、DNAや脂質の損傷を引き起こすことが
知られており、宇宙旅行の主要な懸念である。
生物医学分野において最近新たに水素が治療用の医療ガスとして強力な抗酸化剤、
抗炎症作用を持っていることが発見されている。


宇宙ミッションの活動は、回数と期間の両方で今後数年間で増加することが
期待されている。


したがって、宇宙飛行士に対して酸化ストレスが原因で発生する疾患のリスクや
臨床症状を研究・開発し、防止することが重要である。

我々は、宇宙飛行士が受ける潜在的な放射線または有害事象の影響を、水素を
吸引または飲料水として多く摂取することで新しい予防と治療戦略に可能性が
高いことを示唆する。」



Med Hypotheses. 2011 Jan;76(1):117-8. Epub 2010 Sep 20.

Hydrogen therapy may reduce the risks related to radiation-induced oxidative stress in space flight.

The National Aeronautics and Space Administration (NASA), Propulsion Research and Technology Branch NASA Marshall Space Flight Center, Huntsville, AL, USA.

Abstract

Cosmic radiation is known to induce DNA and lipid damage associated with increased oxidative stress and remains a major concern in space travel. Hydrogen, recently discovered as a novel therapeutic medical gas in a variety of biomedical fields, has potent antioxidant and anti-inflammatory activities. It is expected that space mission activities will increase in coming years both in numbers and duration. It is therefore important to estimate and prevent the risks encountered by astronauts due to oxidative stress prior to developing clinical symptoms of disease. We hypothesize that hydrogen administration to the astronauts by either inhalation or drinking hydrogen-rich water may potentially yield a novel and feasible preventative/therapeutic strategy to prevent radiation-induced adverse events.
Copyright © 2010 Elsevier Ltd. All rights reserved.
PMID: 20851533 [PubMed - in process]











株式会社FDR・フレンディアでは2005~2006年、韓国ソウルにあるカトリック大学病院治療放射線科において、同科主任教授の崔逸峰教授を責任者として放射線治療を受けた肝臓がん患者49人を対象に放射線治療の副作用に対する水素水の飲水効果について臨床的に検討しました。

水素水投与群25人、プラセボ群(水素を含まない水)に対して6週間投与により比較し、

その結果、水素水投与群はプラセボ群に比較して以下の改善効果が得られました。

1. 活性酸素の生成を軽減した
2. 放射線照射によっておこる生活の質(QOL)を改善した

これらの成果に関しては現在学術誌『Medical Gas Research』に投稿中だそうです。

研究協力者 鈴鹿医療科学大学 具燃和 教授
米国ピッツバーグ大学外科 中尾 篤典 准教授

また、パナソニック電工株式会社と九州大学大学院薬学研究院では、
水素を含んだ水をあらかじめ飲用することにより、
活性酸素が原因で起こると考えられているパーキンソン病等の脳神経疾患の予防と治療に有用である可能性を検証したそうです。

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